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Android スマートフォンでカオス
Android スマートフォンで動作するカオスシミュレータを公開しています。
カオスシミュレーション
良く知られたカオス系をシミュレーションできるシミュレータを集めました。
Windows、Mac、LinuxなどJavaが動くPCで動作します。
脳のダイナミクス
カオスや非線形力学は社会学、経済学、生物学などの分野で広く応用されています。
その中で最もホットな分野の一つは脳科学ではないでしょうか。
脳の振舞いを理解するための研究の一端をシミュレータで紹介します。
Windows、Mac、LinuxなどJavaが動くPCで動作します。
絵と動画で見るカオス
カオス動画
カオスの動画です。
カオスアニメーション
周期的に変動するカオスアトラクターをアニメーションにしてみました。
カオスギャラリー
フランスの数学者アンリ・ポアンカレ(1854-1912)は、3つの星が
相互作用する系では運動方程式が解析的には解けないことを証明しました。
そしてそのような運動を理解するために独自の方法を考案し、極めて複雑な
非周期運動、すなわちカオスを発見しました。
しかし、彼は
その複雑さは驚くべきもので、私自身もこの図形を引いてみせようとは思わない。
(福原満州雄、浦太郎訳「ポアンカレ常微分方程式」共立出版, 第三十三章, p.379)
と述べています。
幸いなことにコンピューターのある時代に生きている私たちは
カオスを視覚的にとらえることが出来ます。
カオス語録
- 科学者
- マックスウェル「物質と運動」(1877) (James Clerk Maxwell "Matter and Mothion", Chapter I, 19 より翻訳)
しばしば引用される原則として「同じ原因はいつも同じ結果を生む」というものがある。(…)
もう一つの原則として、「似た原因は似た結果を生む」というものがある。(…)
非常に多くの物理現象ではこの条件が満たされるが、小さな初期状態の違いがシステムの最終状態に非常に大きな変化をもたらす場合もある。
- ポアンカレ「天体力学の新しい方法 第三巻」(1899) (福原満州雄、浦太郎訳「ポアンカレ常微分方程式」共立出版, 第三十三章, p.379)
その複雑さは驚くべきもので、私自身もこの図形を引いてみせようとは思わない。
- ポアンカレ「科学と仮説」(1902) (河野 伊三郎訳, 岩波文庫, 第九章, p.177)
遊星の錯雑とした運動よりもっと複雑なものがあろうか。
- ポアンカレ「科学の価値」(1905) (吉田 洋一訳, 岩波文庫, 第二部第五章, p.154)
惑星の軌道は摂動によって乱され複雑な曲線 --- これを表現する方程式を書いた人がいまだにないような複雑な曲線を描く。
- ポアンカレ「科学と方法」(1908) (吉田 洋一訳, 岩波文庫, 第四章, p.74)
最初に於ける小さな誤差が、のちに莫大な誤差となって現われるでもあろう。
かくて予言は不可能となって、ここに偶然現象が得られるのである。
- ファン・デル・ポール「周波数分周 (Frequency demultiplication)」 (1927) (B. van der Pol and J. van der Mark, Frequency demultiplication, Nature, 120, 363-364, 1927.)
周波数が次の低い値にジャンプする前に、しばしば不規則なノイズが
レシーバーより聞こえた。(…)
影のついた部分は、不規則なノイズが聞こえたときのコンデンサの値を
示している。
- リー、ヨーク (1975) (Tien-Yien Li and James A. Yorke, Period Three Implies Chaos, The American Mathematical Monthly, 82, 985-992, 1975.)
3周期軌道があればカオスが存在する。
- 森肇・蔵本由紀「散逸構造とカオス」(1994) (岩波書店, 序文)
カオスは小さな摂動に対して不安定で再現不能であるが、その軌道上での物理量の長時間平均は安定で再現可能である。
- 山口昌哉「カオス入門」(1996) (朝倉書店, 序文)
今必要なことは東洋の思想を西洋の言葉で語ることである。カオスはその言葉の一つである。シンメトリーからは2元対立の2周期振動しかでないけれど、ノンシンメトリック(これは東洋美術の特徴である)からはカオスがでる。カオスは創造の源である。これはギリシャ以前の人類の伝統である。
- 哲学者または文学者
- 老子「老子 (第 42 章)」(紀元前 6 世紀)
道生一、一生二、二生一、三生万物
(道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず)
- 荘子「荘子 (第一冊 内篇)」(紀元前 4〜3 世紀頃) (金谷治訳, 岩波文庫, 応帝王編第七, p.235)
南海の帝を儵(しゅく)といい、北海の帝を忽 (こつ)といい、中央の帝を渾沌といった。(…)
「人間にはだれにも[目と耳と鼻と口の]七つの穴があって、それで見たり聞いたり食べたり息をしたりしているが、この渾沌だけはそれがない。ためしにその穴をあけてあげよう」ということになった。そこで一日に一つずつ穴をあけていったが、七日たつと渾沌は死んでしまった。
- エピクロス「ヘロドトス宛の手紙」(紀元前 4〜3 世紀頃) (出隆・岩崎允胤訳, 岩波文庫, p.14)
また、原子は、たえず永遠に運動する。或るものは <垂直に落下し、或るものは方向が偏り、或るものは衝突して跳ね返る>
(ただし、< > 内はビニョーネやベイリーによる英訳からの補訳。
この「方向の偏り (クリナメン) 」という概念は次項のルクレティウスでも繰り返されています)
- ルクレティウス「物の本質について」(紀元前 100 年頃) (樋口勝彦訳, 岩波文庫, p.71)
(原子は) その進んでいる時に、全く不定な時に、又不定な位置で、進路を少しそれ、
運動に変化を来らすと云える位なそれ方をする、ということである。
ところで、若し原子がよく斜に進路をそれがちだということがないとしたならば、(…)
自然は決して、何物をも生み出すことはなかったであろう。
- ペトロニウス「サテュリコン」(紀元後 1 世紀)
偶然といえども原因はある。 (Suam habet fortuna rationem)
※国原吉之助訳の岩波文庫版 (p.150) によると、
82 (…) 運命の女神は独自の考えを持つ
と訳されています。
- パスカル「パンセ」 (17 世紀) (前田陽一・由木康 訳, 中公文庫, p.111)
162 (…) クレオパトラの鼻。それがもっと短かったなら、大地の全表面は変わっていただろう。
- ライプニッツ「単子論」 (1714) (河野 与一 訳, 岩波文庫, 37, p.248)
ところでこの細部がいずれも内にそれより以前の若しくはそれよりも細緻な偶然的要素を蔵し、その偶然的要素一つ一つの理由を示すには又同じような分析が必要になって来るから、そうやっていくら行っても一向進んだことにならない。
- エドガー・アラン・ポオ「黄金虫」 (1843) (「黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九編」所収、八木敏雄 訳, 岩波文庫, p.338)
もちろん、最初はわずかな狂いだったにしても、線を延長していくうちに狂いは次第に大きくなり、五十フィートもいくころには、すっかり見当ちがいのところに行ってしまっていたというわけさ。
- ジュール・ヴェルヌ「月世界へ行く」(1869) (江口 清 訳, 創元SF文庫, p.64)
「砲弾が月と地球のあいだで実際にたどった曲線をきみに示すことはできないのだ。(…)」
「なぜ?」
「それはね、"三体問題"と呼ばれていて、積分学もそれを解決するほどには進んでいない問題の
解決を求めることになるのだからね。」
- ジュール・ヴェルヌ「動く人工島」(1895) (三輪 秀彦 訳, 創元SF文庫, p.125)
たしかに科学の驚異をもってしても、自然の美しさを再現できないのだ。
- ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」 (1883-85) (氷上 英広 訳, 岩波文庫, 上巻, p.23)
わたしはあなたがたに言う。
舞踏する星を産むことができるためには、
ひとは自分のなかに混沌を残していなければならない。
わたしはあなたがたにに告げる。
あなたがたはまだ混沌を自分のなかに持っていると。
- アーサー・コナン・ドイル「緋色の研究」(1888) (深町 眞理子 訳, 創元推理文庫)
ある結果だけを先に与えられた場合、自分の隠れた意識の底から、論理がどういった段階を経て発展して、そういう結果にいたったのか、それを分析できる人間はほとんどいない。
- アーサー・コナン・ドイル「四人の署名」(1890) (深町 眞理子 訳, 創元推理文庫)
"個々の人間が解きがたい謎であるのにひきかえ、集団としての人間は、一個の数学的確率となる"ってね。たとえばの話、あるひとりの人間がどういう行動をとるかは絶対に予測不可能だが、対象が平均的な多数になれば、それをぴたりと言いあてられる。個体は多種多様だが、平均値はつねに一定であるというわけさ。
- アーサー・コナン・ドイル「青い柘榴石」(1892) (「シャーロック・ホームズの冒険」所収, 深町 眞理子 訳, 創元推理文庫, かつては「青い紅玉」と訳されていました)
これだけ多数の人間がぎっしり集まって、たがいに作用と反作用をくりかえすそのうちには、いろんな事象がありとあらゆる組合せで起きてくるだろうし、犯罪にはならないまでも、あっと驚くような奇怪な出来事が、あまた発生する可能性だってある。
- レイ・ブラッドベリ「サウンド・オブ・サンダー」 (1952) (「太陽の黄金の林檎」所収, 小笠原 豊樹 訳, ハヤカワ文庫, p.219, p.235)
「或る種の植物に損害を与えれば、結果は微分のようにわずかずつ積み重ねられます。
ここでは取るに足らぬ過ちが、六千万年後には、恐るべき結果に拡大されます。」(…)
「こんなちっぽけなことが!たかが蝶々一匹ぐらいで!」
- アイザック・アシモフ「Z を S に」 (1959) (「停滞空間」所収, 伊藤典夫他 訳, ハヤカワ文庫, p.265)
「あなたの事例は非常におもしろいものです。名前をセバチンスキイに変えるようおすすめします」(…)
「つまり、イニシャルを変えろとおっしゃるんですか?ZからSへ?それだけですか?(…)その変更が何にどう作用するんです?」(…)
「わたしにはわかりませんな。なぜだかわからんが、影響を与えるかもしれん。」
- アルフレッド・ベスター「世界のもうひとつの顔」 (1964) (大西 尹明 訳, 創元SF文庫, p.76)
「(…)うっかりと更新世の小さな昆虫を一匹踏み殺してしまいました」(…)
「(…)その虫一匹が死んだために、すっかり様子が変わってしまった、という幻影を見ました。」
- ジル・ドゥルーズ & フェリックス・ガタリ「アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症」 (1972) (宇野 邦一 訳, 河出文庫, 上巻, 第一章第三節, p.45)
要するに、吸引力と反発力の対立は、すべて肯定的な、強度の諸要素の開かれた系列を生み出すのである。これらの要素は、決してひとつのシステムの最終的な均衡状態を表現しているのではなく、むしろ無数の準安定的な停止状態を表現し、ひとつの主体は、次々とこれらの状態を体験し通過してゆく。(…)
器官なき身体の上のもろもろの離接の点は、欲望機械の周囲にいくつかの収斂する円環を形成している。こうして主体は、欲望機械の傍に残滓として生産され、機械に隣接する付属物、あるいは部品として、円環のあらゆる状態を通過し、ひとつの円環から次の円環へと移ってゆく。
- アルフレッド・ベスター「コンピュータ・コネクション」 (1975) (野口 幸夫 訳, サンリオSF文庫, p.99)
創成的な事柄の性質は、組合わせに先だって幾つかの要素の性質から予測することはできません。創成的な事柄の性質は実験と観察を通じてのみ発見しうるもので、誰にも予測はつきません。それは、新たに、思いがけず生じてきて万人を驚かすのです。
- ウィリアム・ギブスン & ブルース・スターリング「ディファレンス・エンジン」 (1990) (黒丸 尚 訳, 角川文庫(旧版), ハヤカワ文庫(新版), 上巻, p.385)
「ちゃんと激変説を学んでいれば、こういうことになるとわかっていたはずだ。相互共同作用の連鎖で --- システム全体が周期倍加で混沌に向かっているんだ」
「それはどういう意味ですか……」(…)
「素人言葉で言うなら、すべては二倍早く、二倍悪くなり、やがて何もかも、完全に駄目になる、ということさ」
- マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」 (1991) (酒井 昭伸 訳, ハヤカワ文庫, 上巻, p.150)
カオス理論はふたつの要点を示唆している。ひとつめは、気象のような複雑なシステムには潜在的な秩序構造があるということ。ふたつめはその逆 --- 単純なシステムからも複雑な動きが生じうるということだ。
- ジョン・ヴァーリイ「スチール・ビーチ」 (1992) (浅倉久志 訳, ハヤカワ文庫, 上巻, p.482)
ある場所に長くいると、いずれはこれまで知り合った人間ぜんぶがそこを通りかかるという。それが事実にちがいないと知ったのは、息を切らしてキャビンへの小道を登って来るウォルターを見たときだった。
Mail: kanamaru [at] cc.kogakuin.ac.jp
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