格子上のコヒーレンス共鳴 (array-enhanced coherence resonance)




aecr.jarをダウンロードしてダブルクリックして実行してください(コマンドラインでは java -jar aecr.jar)。

シミュレータが実行出来ない方は adoptium.net からOpenJDKをインストールしてください。




次式であらわされる FitzHugh-Nagumo 方程式の結合系を考えます。

これは一次元格子上の神経細胞がギャップジャンクションによる 電気的結合で相互作用している系のモデルになっています。
境界は周期的境界条件とします。a, b, c, I はパラメータで、a=0.7, b=0.8, c=10.0, I=0.3 に固定します。

上のシミュレータでは結合強度 g およびノイズ強度 D を調整して系の時間発展を観察 することができます。
横軸は時間、縦軸は素子の番号をあらわしており、このページでは素子数を N=100 としています。
平面上の色は各素子の変数 ui の値に応じて決められています。
色が青いと素子が平衡状態にあり、色が赤いと系がパルスを出している状態にあります。

バーを調整して D と g を変化させるとわかるように、 有る程度の大きさの D と g において素子の発火が周期的になります。
これは、ノイズによって周期的な解が生じたことを意味します。
特に、このページの場合は素子の相互作用によってパルス伝播が起こって周期性 (またはコヒーレンス) が強まっていることもわかります。
このような現象は array-enhanced coherence resonance と呼ばれます。
(適切な日本語訳は今のところないようですが、タイトルでは便宜的に「格子上のコヒーレンス共鳴」としました)

一素子の発火の周期性の指標として「発火間隔の平均と標準偏差の比」を用いると、
周期性が最大化される g と D がほぼ g=0.4, D=0.004 程度であることがわかります。

このページでは結合は隣接した素子のみに存在しましたが、結合が全結合であれば 素子数無限大の極限で理論的な解析が可能になり、
array-enhanced cohehrence resonance は g と D をパラメータとした分岐現象 によって引き起こされることがわかります。

このページは以下の文献を参考にしています。
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