課題:過去の卒論を読んで文章にまとめる
課題内容
まず、以下の過去の卒業生による卒業論文のどれか一つを選んで欲しい。選んだ卒論を全て読み、内容を Word 1ページ程度にまとめよ。
ただし、Word の体裁についてはかなり細かく制約をつけるので、本ページを熟読して制約を満たす文書を作成すること。
課題締め切り
6/12(月) 17:00 までに金丸までにメール添付で原稿を送信すること。演習の期間が約2週間あるということである。
すなわち、来週のオンラインミーティングはない、ということでもある (そもそも合同定期試験期間なので講義はないのだが)。
なお、原稿に挿入する画像は後に解説するように「縮小&切り取り」を必須とする。それにより Word のファイルサイズを 2MB 以下に抑えること。2MB を超えた原稿は減点の対象となる。
この課題の目的
この課題は、皆さんに以下のことを体験してもらうことを目的としている。
- 他人の書いた文章を読み、頭の中で理解すること
- 自分の頭で理解した内容を、他人に説明するため適切な長さ(1ページ程度)に頭の中で再構成すること
- 頭の中で再構成した内容を、文章として表現すること
見て分かる通り、この中に技術的な内容は含まれていない。高校までに学んだ教科で言えば、国語あるいは現代文の内容である。
なぜこれらを演習として求めるかというと、「卒業論文を執筆するにあたってそれが必要な能力であるから」という理由と、
「その能力は卒業後、社会に出てからも必要な能力であるから」という理由の2つがある。
この課題を皆さんが過去に体験したことがある内容に例えれば、「読書感想文において、本の内容のあらすじをまとめること」が最も近い。
多くの場合、読書感想文は「本の内容のあらすじの解説」と「その解説に基づいて記した自分の意見」の2つから構成される。
今回は「皆さんの意見」を記す必要はなく、「あらすじ」だけで良い。
「あらすじ」だけを書くと言っても、多くの小中学生にとって「あらすじ」を書くだけでも大変な仕事である。
本の巻末に誰かの解説文が付いている場合、その解説文からあらすじを (あるいは意見までも) ぱくったことのある人は多いのではないだろうか。
なぜ「あらすじ」を書くのが大変かというと、
- ある程度長い文章の中から本質をつかみ、
- その中から「書くべき内容」と「省略できる内容」を取捨選択し、
- 最終的にそれを文章としてまとめる
という、「頭を使った知的作業」が必要となるからである。今回皆さんに求めているのは、この「頭を使った知的作業」である。
何をして欲しくないか
このページの後半には、Word を使う際の条件が事細かに記されている。なぜこのようにうるさく条件が課されるかというと、
「過去の学生が3年生の時に同じ課題を課したところ、期待した原稿が全く出て来なかったから」である。
ここで過去の例を「悪い例」として紹介し、「皆さんに何をして欲しくないか」を理解してもらうことにする。
過去の3年生がこの課題に対して行った悪い例は以下のようなことである。
- 卒業論文は PDF で配布されているので、その内容をすべてコピーし、Word に貼り付ける
- そのままでは長いので、図や文章を適当に削って行く
- 最終的に文書が 10 ページから 20 ページ程度になったら完成
多少の誇張もあるが、大体こんなところである。この作業の中には、皆さんにやって欲しいと言った
「ある程度長い文章の中から本質をつかみ」、「その中から『書くべき内容』と『省略できる内容』を取捨選択し」、「最終的にそれを文章としてまとめる」
という工程が何一つ含まれていないことに注意して欲しい。
ちなみに、過去には新宿キャンパスで集まる時間がとれたので、
4年生に一人ずつ壇上に立たせて、作成してきた原稿を解説する、という試みを行ったが、
全員が用意した 10 ~ 20 ページの原稿をただ読むだけ、という全く無駄な時間を過ごすことになった。
「ある程度長い文章の中から本質をつかみ」という工程を行っていないので、
誰も原稿の本質を理解しておらず、何を喋っていいのかわからない状態だった、ということになるだろう。
以上、これが過去の学生を例にした「皆さんにやって欲しくないこと」である。
Word の体裁についての条件
さて、ここから Word の使い方についての制約を解説する。これらの制約は、「全員がおおむね同じ字数のレポートを書く」という条件を満たすためのものである。
- フォント、フォントサイズ、行の間隔、上下左右の余白などはデフォルトから変更しないこと。
バージョンにより異なる可能性はあるが、1行あたり約40文字、1ページあたり約36行程度である。
- 1 ページ目は「文章のみ」を書くこと、「レポートタイトル」、「学籍番号と氏名」、「章タイトル」の行はあって良いが、
「何も書かれていない空行」は存在しない原稿とすること。
- 2ページ目に論文の理解に必要な図をタイトルとともに列挙すること。
1ページ目からこの2ページ目の図を参照しても良い。例えば「図1は○○を示している」など。
- 1 ページ目には、おおむね1ページの 8 割を超える文章を書くこと。さらに、文章のみのページは 1 ページを超えないこと。
次に、コピー&貼りつけに関する制約を課す。これは、
「ある程度長い文章の中から本質をつかみ」、「その中から『書くべき内容』と『省略できる内容』を取捨選択し」、「最終的にそれを文章としてまとめる」
という皆さんにやって欲しいことを満たすための制約である。
- PDF から文章をコピー&貼り付けすることを禁止する。また、インターネットからの文章をコピー&貼り付けすることも禁止とする。
コピー&貼り付けを多用した文書や、自分で頭を使って考えていないと判断した原稿は大幅に減点する。
1ページの体裁を整えることがこの演習の目的ではなく、自分の頭で考えそれを文章として表現することが目的だからである。
なお、ここまでの条件を満たした1ページ目のイメージは以下のようなものである。
この Word ファイルは memo.docx としてダウンロード可能である。
中に書かれている内容は、このレポートに関する制約であるので一度は目を通すこと。
次に、図についての制約を以下に列挙する。
- 解説のための図を自分で紙にペンで描くこと。皆さんが頭でとらえた「論文の本質」を表現する図を自分で表現することが求められている。
すなわち、これも皆さんに求める「頭を使った知的作業」である。
過去の学生はPDFから図をコピーして貼り付けたり、インターネットから適当に拾った画像を貼り付けたりしていた。
それでは意味がないので、このような制約を課すのである。
- 紙にペンで描いた図をスマートフォンで撮影し、最終的には Word に貼り付けることを目指す。
- しかし、現在のスマートフォンで撮影した画像のサイズは 2MB を超えるため、「Word ファイルのサイズが 2MB 以下」という本演習の目的を満たせない。
そのため、撮影した画像は縮小および切り出しをしてサイズを小さくしなければならない。
- 画像の縮小と切り出しは、1年生向けの以下のページを参考にすること。
PowerPoint-07: 画像の縮小と切り出し
ちなみに、この「縮小&切り取り」はコンピュータで画像を扱う上で必須の知識であるので、全員に体験してもらう。
過去の学生にも体験させたのだが、今年3月に卒業した学生で卒論執筆時にこの技術を適切に用いられた学生はいなかったことを付け加えておく。
- 図は、2ページ目以降に図タイトルとともに列挙すること。図の枚数に制限はないが、文章量から考えて2~3枚程度が適切ではないだろうか。
以上の条件を満たした2ページ目のイメージは以下のようになるだろう。
このページは、先程も示した Word ファイル memo.docx の2ページ目なので、参考にすると良い。
なお、ファイル内の図はスマートフォンで撮影した画像をペイントで 25% の大きさに縮小してから切り出し、JPEG 形式に保存している。
どちらも 100kB 程度のサイズとなっているので、それらを挿入した Word ファイルも 200kB 程度となっている。
あと注意すべきなのは
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