フィッツヒュー・南雲 (FitzHugh-Nagumo) 方程式




シミュレータが現れない方は「Java実行環境について」をご覧ください。



生体の脳はニューロンとよばれる神経細胞によって構成されています。 このページのシミュレータは、そのニューロンの定性的な振る舞いをモデル化した FitzHugh-Nagumo 方程式をシミュレートしたものです。
FitzHugh-Nagumo 方程式は次の 2 次元の微分方程式で表されます。

du/dt= c (- v + u -u3/3 + I(t))
dv/dt= u - b v + a

u、v の二つの変数がありますが、この内 u がニューロンの膜電位、 すなわち、出力に相当します。I(t) はニューロンへ加わる外部入力で、 ここでは「周期パルス」であるとします (後述)。 a、b、c はパラメータであり、ここでは a=0.7、b=0.8、c=10 に固定します。

ニューロンのダイナミクスを電気生理学的にモデル化したものとしては ホジキン・ハックスレー (Hodgkin-Huxley) 方程式 が有名です。
ホジキンとハックスレーはヤリイカの巨大軸索の神経膜の活動を調べ、 4 次元の微分方程式を書き下しました。
この研究により彼らは 1963 年のノーベル生理学賞を受賞しています。

このモデルは現在も精緻化が進められ、ニューロン一素子の振る舞いを
多くの変数を取り込んだ微分方程式により詳細にモデリングできるようになりました。
このように、モデルの精密化を指向する研究と平行して、 モデルの本質のみを抽出して簡単化しようという流れもあり、
その代表例がこの FitzHugh-Nagumo 方程式です。
FitzHugh-Nagumo 方程式は、4 次元のホジキン・ハックスレー方程式の「本質」が
2 次元で表現されるように簡単化したモデルと言えます (どちらもタイプ II と呼ばれるニューロンモデルです)。

また、このような簡単化を行うことにより、ニューロンを多数結合したネットワークモデル (ニューラルネットワーク)
の動作を調べることも容易になります。
次ページ以降で紹介しますが、私が普段の研究で用いているモデルはさらに簡単化を押し進めた
1次元のモデルを用いておりますが、これは闇雲に簡単化したというわけではなく、
あるタイプのニューロンの振る舞いを再現できるモデルであるということが数学的に証明されています。

このように「モデルの精緻化」を進める研究と「モデルの簡単化」を進める研究とが 相補的に協力し合うことで、
脳内現象のさらなる理解が進むことが期待されます。

さて、シミュレータの上部は FitzHugh-Nagumo モデルの出力 u の時間変化を プロットしています。横軸が時間、縦軸が u です。 デフォルトではパルス状の応答が見られます。
シミュレータの右下部は FitzHugh-Nagumo モデルの 2 変数 (u, v) の 時間変化を表しています。横軸が u、縦軸が v です。
上部のフィールドと右下部のフィールドの対応がわかるでしょうか?

左下のフィールドは、FitzHugh-Nagumo 方程式に加えられる周期入力 I(t) の波形を表示しています。3 つのバーを用いて、周期パルスの 「周期 T」、「幅 w」、「強さ I」を変更できます。

周期パルスの設定によって、「一対一応答」、「準周期応答」、 「カオス応答」が見られます。
下のボタンを押すことで、カオスが見られるパラメータに自動的にセットされます。

また、T=w=1 にすると、定数入力が加わります。このとき、I を約 0.342 より 大きくすると (subcritical な) Hopf 分岐が起こり、周期的に変動する解が得られます。

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