Windows で ROS のシミュレーションを行う (2)
ROS のセットアップ

このページでは、 前ページでインストールした Ubuntu 16.04 に、 ROS をインストールする。

ROS のバージョンと Ubuntu のバージョンは結び付いており、
Ubuntu 16.04 には kinetic kame と呼ばれるバージョンの ROS がインストールされる。

前ページで 2016 年にリリースされた Ubuntu 16.04 という古い OS をインストールしたのは、
この kinetic kame をインストールしたかったからである。

なぜ kinetic kame かというと、ROS の標準プラットフォームである TurtleBot3 が、kinetic kame を推奨しているからである。

なお ROS には、過去のバージョンと互換性のない ROS 2 というバージョンの開発が進んでいるが、
本資料で「ROS」と言った場合、kinetic kame も含めて全て ROS 1 を表すものとする。

また、本資料の解説は基本的には ROS の公式チュートリアルTurtleBot3 の公式ドキュメント をベースにしている。

本ページは以下の内容を含んでいる。

ROS のインストール

ここからは、VirtualBox で Ubuntu 16.04 を起動し、
ターミナル上でコマンドを一つずつ実行して ROS のインストールを行っていく。

ROS をインストールするため、以下のコマンドを実行する。
本ページ以降に登場するコマンドは長いものが多いため、前ページで解説した
「Windows のブラウザでコピーしたコマンドをUbuntuのターミナルに貼り付けて実行」
という方法で一つずつ確実に実行しよう。

それがうまく行かない環境の場合、
「Ubuntu のブラウザでコピーしたコマンドをUbuntuのターミナルに貼り付けて実行」
すれば良いのだった。

左端 (wget) から右端 (... kinetic.sh) まで確実にコピーすること。
 wget https://raw.githubusercontent.com/ROBOTIS-GIT/robotis_tools/master/install_ros_kinetic.sh && chmod 755 ./install_ros_kinetic.sh && bash ./install_ros_kinetic.sh
実行すると、以下のメッセージが現れるので、Enterキーを入力して作業を進める。
いつも通りパスワードも要求される。入力後 Enter キーを入力するのであった。
(略)

PRESS [ENTER] TO COTINUE THE INSTALLATION
IF YOU WANT TO CANCEL, PRESS [CTRL] + [C]
必要なパッケージのダウンロードとインストールが行われるので、しばらく時間がかかる。
下記の表示が出たら ROS のインストールは完了している。
(略)

[100%] Built target turtlebot3_description_xacro_generated_to_devel_space_
[Set the ROS evironment]
[Complete!!!]
以上を確認したら、一旦 Ubuntu を再起動しよう。


TurtleBot3 用のツールのインストール

ROS のインストールが終ったら、次は TurtleBot3 用のツールのインストールを行う。
さきほど紹介した TurtleBot3 を制御するために必要なツールである。

もちろん、自宅で TurtleBot3 を所有している人はいないだろう。
しかし、TurtleBot3 の「シミュレーション」を行うためにここから解説するツールが必要になるのである。

言い替えれば、本資料は、自宅に Ubuntu や TurtleBot3 が無い場合にも行える演習を解説することが目的ということになる。

それでは、Ubuntu のターミナルで以下のコマンドを実行しよう。
かなり長いコマンドになっている。左端 (sudo) から右端 (...markers) まで、確実にコピーして実行して欲しい。
いつも通り、パスワードの入力も求められる。
 sudo apt -y install ros-kinetic-joy ros-kinetic-teleop-twist-joy ros-kinetic-teleop-twist-keyboard ros-kinetic-laser-proc ros-kinetic-rgbd-launch ros-kinetic-depthimage-to-laserscan ros-kinetic-rosserial-arduino ros-kinetic-rosserial-python ros-kinetic-rosserial-server ros-kinetic-rosserial-client ros-kinetic-rosserial-msgs ros-kinetic-amcl ros-kinetic-map-server ros-kinetic-move-base ros-kinetic-urdf ros-kinetic-xacro ros-kinetic-compressed-image-transport ros-kinetic-rqt-image-view ros-kinetic-gmapping ros-kinetic-navigation ros-kinetic-interactive-markers
いくつかのツールがインストールされるので少し時間がかかる。

終ったら、下記の7つのコマンドを一つずつ順番にコピーして実行していこう。これらはどれもあまり時間がかからないだろう。
 echo 'export TURTLEBOT3_MODEL=waffle_pi' >> ~/.bashrc

 source ~/.bashrc

 cd ~/catkin_ws/src/

 git clone https://github.com/ROBOTIS-GIT/turtlebot3_msgs.git

 git clone -b kinetic-devel https://github.com/ROBOTIS-GIT/turtlebot3.git

 git clone https://github.com/ROBOTIS-GIT/turtlebot3_simulations.git

 cd ~/catkin_ws && catkin_make
ちなみに、一つめのコマンドに「waffle_pi」という文字が見える。これは、TurtleBot3 のページ に見える右端のロボットを想定して演習を行うということを意味する。
Waffle Pi とは、Waffle というバージョンのロボットの頭脳を Raspberry Pi というコンピュータに置き換えたロボットである。

以上が終ったら ROS の準備は完了である。次ページから ROS の演習を行っていこう。

なお、本ページの内容が終わったら、ターミナルで以下のコマンドを実行することで約 900MB ディスクに空きが出来る。
インストール用にダウンロードした一時ファイルが削除されるためである。ディスクが不足してきたときに役に立つかも知れない。
 sudo apt clean



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