Visual Studio と OpenCV をインストールする

本ページでは、画像処理を体験するために必要な Visual Studio と OpenCV をインストールする。

Visual Studio はプログラミングを行うための統合開発環境であり、 OpenCV は画像処理を行なうためのライブラリである。


それぞれをインストールした後、Visual Studio と OpenCV を連係させるための設定を行なう。
これらの全てのステップを成功させないとOpenCVを利用することはできない。丁寧に指示に従うこと。

なお、本ページの解説は を対象に行なう。

32bit 版 Windows は最近のOpenCVではサポートが外されているのでここでは解説しない。

64bit版 Windows 7 や Windows 8 の場合、環境変数の設定の仕方がここでの解説がやや異なるが、
その読み替えを行なえば実行可能であるので、各自検索するなどして調べながら進めること。

Windowsで拡張子を表示しよう

本演習を行う前の準備として、Windowsで拡張子を表示する設定を行おう。
今後PCを使う上で、ファイルの拡張子を表示した方が便利なためである

エクスプローラーを起動し、下図のように「表示」タブの「ファイル名拡張子」と「隠しファイル」にチェックをいれる



すると、「ファイル名拡張子」にチェックをいれた効果で、下図のようにファイルに拡張子が表示されるようになる。
下図のファイルは、本ページを学んで行く際にダウンロードされるものである。



また、「隠しファイル」にチェックをいれた効果で、以下のように、エクスプローラーで表示されるファイル/フォルダが増える。
下図のフォルダは、実際に本演習を学ぶ際に登場するものである。



以上の設定はコンピュータについて学ぶ上で基本であるので、今後新しい PC を購入する機会があったら、最初のこの設定を行おう。


Microsoftアカウントを作成しよう

次に、Microsoftアカウントを作成しよう。本演習で用いる Visual Studio の無料版では、Microsoftアカウントが必須だからである。

まず、Visual Studio のダウンロードページを開いてみよう。
ページ右上部にアカウントを示すアイコンがある。クリックしてみよう。



もし、Miscrosoftアカウントを既に持っているならばログインしてみよう。 Miscrosoftアカウントは、Windows のログインや、OneNote、OneDriveのようなMicrosoftのサービスで使われる。 これらのサービスを使っている学生はそのアカウントでログインできるはずである。

ただし、Windows のログインは、Microsoftアカウントを使ったログインとそうでないログインがあるので、 Windowsにログインできるからと言ってここでログイン出来るとは限らないことに注意。

もし自分がMicrosoftアカウントを持っていないと思ったら、下図の「作成」リンクをたどり、アカウントを作ろう。



アカウントを作り、先程のページにログインしたら、アカウントアイコンをクリックしたときに下図のようにユーザー情報が表示されるだろう。
それを確認して次に進もう。






Visual Studioのインストール

それでは、Visual Studio のダウンロードページで 下図のようにVisual Studio 2019 のコミュニティディションをダウンロードしよう。



ダウンロードしたファイルは、デフォルトではダウンロードフォルダに以下のように表示されるだろう。ダブルクリックして実行しよう。



しばらく待つと、インストール開始画面が現れる。ここでは「C++によるデスクトップ開発」をチェックし、インストールボタンをクリックしよう。
なお、下図の画面を良く見ると、7.16GB 程度の容量が必要であることがわかる。



しばらく待つとインストールが終り、再起動を促されるので再起動しよう。



再起動したら、Windows のメニューから「V」の項目にある「Visual Studio 2019」をクリックして起動しよう。



すると、下図のように Microsoft アカウントでのサインインを促される。「サインイン」ボタンをクリックし、先程確認した Microsoft アカウントでログインしよう。



すると、以下のように表示される。



さらに待つと、Visual Studio の起動画面が現れる。ただし、ここではまだプログラミングを行わないので、 「コードなしで続行」をクリックしよう。



すると、以下のように Visual Studio の画面が開く。

なお、ウインドウの配色を変更したい場合、メニューから「ツール」→「オプション」を選択する。



現れたオプション画面で、下図のように「環境」→「全般」→「配色テーマ」で例えば「濃色」を選ぶと良い。



すると、以下のような配色となる。お好みで色を変更して良い。






OpenCVのインストール

ここからは画像処理用のライブラリOpenCVのインストール法を解説する。
まず、OpenCVの公式ページに飛び、下図のように「Releases」をクリックする。



すると、一番上に OpenCV 4.3.0 のダウンロードリンクがある。「Windows」をクリックしてファイルをダウンロードする。
それより新しいバージョンが存在する場合はそちらをダウンロードすれば良いだろう。



「Windows」をクリックすると、以下のページに遷移するが、このページではなにもせず、ただダウンロード開始を待っていれば良い



ダウンロードが始まるときに以下の画面が現れるので、「保存」ボタンをクリックすれば良い。



ダウンロードが終ると、ダウンロードフォルダには先程の Visual Studio に加えて OpenCV のインストール用ファイルが見えるはずである。



ダウンロードされたファイルをダブルクリックしてみよう。下図の画面が現れるので、「Extract(展開)」ボタンをクリックしよう。圧縮されている OpenCV のファイルの展開が始まる。



展開中の様子である。終るまで慌てずに待つ。



展開が終ると、下図のようにフォルダが出来ている。



これから行うのは、「展開されて出て来たフォルダを C ドライブ直下に移動する」ことである。
「Cドライブ」などの概念を知らなかった学生はここで確実に覚えること。

まず、「展開されて出て来たopencvフォルダ」上で右クリックして「切り取り」を選択。



切り取った「opencvフォルダ」の移動先がCドライブ直下である。

では、Cドライブとはなんだろうか?下図のように、エクスプローラーで「PC」→「Windows (C:)」とたどってみて欲しい。

注意して欲しいのは「Windows」の部分の文字は、人により異なることである。
重要なのは「C:」の方で、この文字はほとんどの学生にとって共通である。これを「Cドライブ」と呼ぶ。

このCドライブをダブルクリックして中に入ろう。



Cドライブの中 (これを本ページでは「C ドライブ直下」という) は、人により異なるがおおむね以下のようになっている。



この C ドライブ直下に、先程切り取った opencv フォルダを貼り付ける。
キーボードで「Ctrl-v」を入力して貼り付けてもよいし、余白部分でマウスの右クリックをして「貼り付け」を選択しても良い。
マウスを用いる場合、適切な位置で右クリックしないと「貼り付け」できないことに注意。



切り取った opencv フォルダを正しく貼り付けると下図のようになる。



以上で、OpenCV のファイルを C ドライブ直下に配置することができた。
次に、この OpenCV を Visual Studio から利用するための設定を行おう。


OpenCVを用いるための設定 (環境変数の設定)

次に、OpenCV を Visual Studio から利用するために環境変数の設定を行う。
Windowsでプログラム開発を行う場合、環境変数の設定は頻出事項であるので、ここで覚えてしまうこと。

まず、「コントロールパネル」を開く必要がある。
Windows の検索窓で「コン」と入力すると候補として「コントロールパネル」が現れるので、クリックして起動する。



現れたコントロールパネルで、「システムとセキュリティ」→「システム」と順にクリックして欲しい。

すると、下図の画面となるので、左下の「システムの詳細設定」をクリックする。



すると下図の「システムのプロパティ」画面が現れるので、「環境変数」ボタンをクリックする。



すると、以下のようにシステムで用いられている環境変数の設定画面が現れる。

ここでは、まず画面の下半分で「Path」という項目を探す。
見付かったらクリックして選択することで色を青くし、「編集」ボタンをクリックする。



すると下図の「環境変数名の編集」画面が現れるので、「新規」ボタンをクリックする。
すると、末尾に新しいパスを追加できるようになる。



そこに、以下のように「 C:\opencv\build\x64\vc15\bin 」と記述する。 このページから文字をコピーして貼り付けるのが確実だろう。 できたら「OK」ボタンをクリックする。



これで環境変数の設定は終ったので、環境変数に関する画面は全て閉じて構わない。

ところで、「 C:\opencv\build\x64\vc15\bin 」とはなんだろうか?
これは、OpenCV のファイルのうち、プログラムから利用されるファイルの存在位置を示している。
具体的には、エクスプローラーで下図のようにたどった位置を示している。

下図の状態でアドレスバーの部分を右クリックして「アドレスのコピー」を実行すると、「 C:\opencv\build\x64\vc15\bin 」がコピーされる。
もちろん、本ページを用いる場合は「 C:\opencv\build\x64\vc15\bin 」を本ページからコピーすれば良いが、
エクスプローラーのアドレスバーからもコピーできると知っておくと、今後役に立つことがあるかも知れない。




OpenCVの動作確認

以上でOpenCVを用いる準備は整った。ここでこちらが用意したファイルをダウンロードして動作確認してみよう。
ただし、ダウンロードしたファイルをそのまま用いても正常に動作しない。内容を理解した上でひと手間加えないと正常動作しないので注意して実行すること

作成するプログラムは下記のようなものである。 そのため、なんらかの画像をデスクトップに置いておく必要がある。

ここでは、工学院大学のロゴデスクトップに保存して話を進めることにする。
上のリンク上でマウスを右クリックして、「対象をファイルに保存」や「名前を付けてリンク先を保存」を選択すれば良い。
デスクトップに保存するとわかるが、画像名は kogakuin.png である。
拡張子 .png まで含めたファイル名が必要なため、冒頭で拡張子表示の設定を行なったのである。

次に、こちらで用意したプログラムを圧縮したファイル をダウンロードして欲しい。

ダウンロード後のダウンロードフォルダは例えば下図のようになるだろう。



ここで、ConsoleApplication1.zip は圧縮されたファイルであるので展開しなければならない
OpenCV のファイルもこのように圧縮されていたが、OpenCV のファイルは拡張子が .exe であり、ダブルクリックにより展開できた。
しかし、ここで用いるファイルは拡張子が .zip であり、多くの場合、ダブルクリックにより展開できないので注意が必要である。

zip ファイルを展開するには、下図のように、ファイルを右クリックして「すべて展開」を選択する必要がある。
そして、現れたウインドウで「展開」ボタンをクリックして続行すればよい。



ただし、この「圧縮ファイルの展開」の方法は、Windowsに展開用のソフトウェアがプリインストールされている場合は異なることが多い。

例えば、WinRAR というソフトウェアがインストールされている場合、
展開方法は下図のように「ファイルを右クリックして『解凍』を選択」である。 このように、「展開」のことを「解凍」と呼ぶこともあることに注意。

大学では、Lhaplus というソフトウェアがインストールされており、ダブルクリックするだけで展開できた。



どの方法を用いるにせよ、下図のように
ダウンロードした ConsoleApplication1.zip の他に、展開されて現れた ConsoleApplication1 フォルダがないと 以後の演習は失敗する
ので注意。



さて、展開されて現れたフォルダの中をたどって行くと、下図のように「ConsoleApplication1.sln」というファイルが見つかる。
sln はソリューションの略である。

このファイルをダブルクリックしよう。



すると、どのアプリケーションで開くか聞かれることがある。Visual Studio 2019 を選択して起動しよう。
このとき「常にこのアプリを用いて .sln ファイルを開く」にチェックをいれておくと良いだろう。



ファイルが開く前に「セキュリティの警告」が出ることがあるがOKして構わない。
すると、以下のようにこちらで用意したファイルが開く。ただし、ソリューションエクスプローラーで 「ソースファイル」の「ConsoleApplication1.cpp」をダブルクリックして開いていることに注意。



このプログラムは、「ユーザー neura のデスクトップにある kogakuin.png という画像を開いて表示する」というプログラムである。
ただし、もちろん皆さんのユーザー名は「neura」ではないので、このままでは皆さんの環境で動作しない。

皆さんの環境で「neura」の部分をどう修正すれば良いか?を考える必要がある。
それを知る方法を以下に記す。

まず、エクスプローラーで下図のようにCドライブ直下に移動し (上で学んだことの復習)、「ユーザー」フォルダをダブルクリックして中に移動しよう。



すると下図のように、ユーザー名の候補であるフォルダ名が現れる。図の場合は「neura」と「student」である。
皆さんは、自分のユーザー名に相当するフォルダを探そう。



そして、そのフォルダ名で、プログラム中の
C:\\Users\\neura\\Desktop\\kogakuin.png
の「neura」の部分を置き換えれば良い。

なお、プログラム上ではフォルダの区切りを表す「\」は二文字重ねて「\\」としなければならないことに注意。

さらに、プログラム中に「word430」という語句が8行目と10行目にある。 これは、OpenCV 4.3.0 に含まれるファイルを指定している。
皆さんがダウンロードした OpenCV のバージョンが 4.3.0 以外である場合、その部分も適切に変更する必要がある
例えば、OpenCV 4.4.0 なら world440 のように
具体的には、「 C:\opencv\build\x64\vc15\bin 」フォルダにあるファイル名を指定する必要があるのである。

以上、適切に書き換えたら、キーボードで Ctrl-s を入力して変更を保存した上で、「デバッグ」→「デバッグ開始」を実行しよう。
ここまでの内容が全て問題なく出来ていれば、下図のようにデスクトップ上の kogakuin.png が OpenCV の機能により開かれる。



なお、このページの手順を正しく実行していない場合は何らかのエラーが出るであろう。
考えられる問題としては、例えば下記のようなものがある。 自分の力で問題を見つけること。

さて、以上が初めての OpenCV プログラミングである。


OpenCVを用いたゼロからのプログラミング

以上では、OpenCV 用の Visual Studio 用プロジェクト (ソリューション) をあらかじめ配布して実行してもらった。
しかし、教科書などで OpenCV を勉強する場合、プロジェクトをゼロから作る方法を知っておいた方が良いだろう。

以下で解説する。

まず、Visual Studio を全て閉じて、スタートメニューから Visual Studio を起動し直す。
そして、下図の「新しいプロジェクトの作成」をクリックする。



そして、下図の「コンソールアプリ」をクリックし、「次へ」をクリック。



下図ではお好みでプロジェクト名を変更し、「作成」をクリック。



Visual Studio が起動したら、まず下図の部分が「x64」になっているか確認。
「x86」などになっていたら、「x64」にする。



そして、メニューの「プロジェクト」→「(プロジェクト名)のプロパティ」を選択。
下図のようなウインドウが開くので、「C/C++」→「全般」を選択し、
「追加のインクルードディレクトリ」に「 C:\opencv\build\include 」を記述。コピーして貼り付けが確実。



同じくプロパティページのウインドウで、「リンカー」→「全般」を選択し、
「追加のライブラリディレクトリ」に「 C:\opencv\build\x64\vc15\lib 」を記述。コピーして貼り付けが確実。



以上が終ったら、プログラムの冒頭部に以下を記述しておけば、OpenCV のプログラムを書けるようになる。
ただし、world430 の部分は C:\opencv\build\x64\vc15\bin に存在するファイル名に書き換えること。
#ifdef _DEBUG
#pragma comment(lib, "opencv_world430d.lib")
#else
#pragma comment(lib, "opencv_world430.lib")
#endif
先程配布したプログラムを丸ごと記すと以下のようになる。自分でゼロから作成したプロジェクトで実行できるか試してみると良い。
もちろん、ユーザー名と「world430」の部分は各自書き換える必要がある。
#include <iostream>
#include <opencv2/opencv.hpp>

#ifdef _DEBUG
#pragma comment(lib, "opencv_world430d.lib")
#else
#pragma comment(lib, "opencv_world430.lib")
#endif

int main()
{
	const char* windowName = "Image";

	cv::Mat img = cv::imread("C:\\Users\\neura\\Desktop\\kogakuin.png");
	cv::imshow(windowName, img);

	cv::waitKey(0);

	return 0;
}


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Windows 上の Visual Studio で OpenCV を使う