確率共鳴 (Stochastic Resonance)
sr.jar
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シミュレータが実行出来ない方は
adoptium.net
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このページでは FitzHugh-Nagumo 方程式における 確率共鳴 (stochastic resonance) という現象を紹介します。
確率共鳴とは「ノイズが微弱な入力を引き出し観測可能にする」という 現象で、生体が外界からの危険信号を検知するために利用しているのではないか、 と言われています。
ノイズが加えられた FitzHugh-Nagumo 方程式は次の微分方程式で表されます。
du/dt= c (- v + u -u
3
/3 + I(t) + s(t))
dv/dt= u - b v + a
u、v の二つの変数がありますが、この内 u がニューロンの膜電位、 すなわち、出力に相当します。I(t) はニューロンへ加わる外部入力で、 ここでは「周期パルス」であるとします。s(t) が系に加わるノイズです。 a、b、c はパラメータであり、ここでは a=0.7、b=0.8、c=10 に固定します。
さて、シミュレータの上部は FitzHugh-Nagumo モデルの出力 u の時間変化を プロットしています。横軸が時間、縦軸が u です。 デフォルトでは入力が小さいためモデルはパルスを出力しません。
シミュレータの下のフィールドは、FitzHugh-Nagumo 方程式に加えられる周期入力 I(t) の波形を表示しています。右側のバーを用いて、周期パルスの「強さ」 を変更できます。
左側のバーでは、系に加わるノイズの「強さ」を調節できます。 デフォルトでは、系にノイズは加わっていません。
左のバーを調節し、系にノイズを加えてみましょう。 ノイズが加えられていなかった時とは異なり、パルス状の応答が 見られることでしょう。ノイズの大きさがあまり大きくなければ、 出力パルスは主に、入力パルスと同じタイミングで出力されます。 しかし、更にノイズを大きくすると、出力パルスは入力パルスと 関係なく、ランダムに出力されます。
このことから、系が出力が入力に良く応答するためには、最適な ノイズの強さが存在する、ということがわかります。 この現象を確率共鳴 (stochastic resonance) と呼びます。
このシミュレータではノイズを外から加えましたが、 実は確率共鳴はノイズの加わらないカオス系でも 起こることが知られています。
また、入力パルスを T=w=1 にすると定数入力が加わります。 この時、系には周期入力が存在しません。 このような時にノイズを加えると、素子の発火の周期性があるノイズレベルで 最大化されるという現象が知られており、 coherence resonance と呼ばれています。 coherence resonance が生体内でなんらかの役割を果たしているかどうかは明らかではありません。
というのも、coherence resonance に見られるようにニューロンが可能な限りの速さで発火するのは、
てんかんが発症しているときに見られることが多いからです。
このページは以下の文献を参考にしています。
Takashi Kanamaru
, Takehiko Horita and Yoichi Okabe,
"
Theoretical analysis of array-enhanced stochastic resonance in the diffusively coupled FitzHugh-Nagumo equation
,"
Physical Review E, 64 (2001) 031908. (preprint
PDF
)
Yuji Shinohara,
Takashi Kanamaru
, Hideyuki Suzuki, Takehiko Horita, and Kazuyuki Aihara,
"
Array-enhanced coherence resonance and forced dynamics in coupled FitzHugh-Nagumo neurons with noise
,"
Physical Review E, 65 (2002) 051906 (
PDF
).
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