リドル・ベイスン
riddledbasin.jar
をダウンロードしてダブルクリックして実行してください (コマンドラインでは java -jar riddledbasin.jar)。
マウスのドラッグにより領域を指定すると、表示範囲が拡大されます。
シミュレータが実行出来ない方は
adoptium.net
からOpenJDKをインストールしてください。
このアプリケーションのAndroid版はこちら→
以下のような2次元の写像を考えます。
x
n+1
= x
n
2
- y
n
2
-x
n
- λ y
n
y
n+1
= 2x
n
y
n
-λx
n
+ y
n
この系は、複素写像
z
n+1
= z
n
2
- (1+λi) z
n
*
の実数部 x と虚部 y に対応する写像でもあります。
この写像は以下の図のように、3つの (カオス) アトラクターを持ちます。
赤、緑、青で表された線分群がそれぞれアトラクターであり、 その内部でカオス的な時間発展をしています。
ちょうどロジスティック写像のような1次元のカオスダイナミクスを 想像すれば良いでしょう。
今、あるアトラクターに引き込まれる初期点の集合を、そのアトラクターの ベイスンと呼びます。
2次元相空間上で、3つのアトラウターのベイスンを調べるのがこのシミュレータです。
赤色の領域は赤い線分のアトラクターに引き込まれる領域を表しています。 色が白に近付くほど、速くアトラクターに収束することを表しています。
緑、青についても同様です。
この時、特徴的に見られるのは、各アトラクターのベイスンが 複雑に入り組んでいることです。
実際、赤いアトラクターのベイスンのどのような領域を拡大しても、 必ず緑や青のアトラクターのベイスン内の点が出現することが わかります。
このように、非常に入り組んだ構造を持ったベイスンは
リドル・ベイスン
と呼ばれます。
リドル・ベイスンが存在するためには、以下の条件が必要であることが知られています。
不変な部分空間 (このシミュレータではそれぞれのアトラクター) が存在し、その運動はカオスである。
不変な部分空間の垂直方向のリアプノフ指数は負。すなわち、不変部分空間はアトラクターである。
不変部分空間以外にも別のアトラクターがある。
力学系のこのような複雑な性質は、 低次元の特殊な方程式でのみ現れるものというわけではなく、
高次元ダイナミクスでは自然と現れる普遍的な現象であると考えられます。
このページは、以下の論文に基づいています。
J.C.Alexander et al., "Riddled Basins"
International Journal of Bifurcation and Chaos
, Vol.2, (1992) 795-813.
堀田武彦, "カオスとコイン投げ", 数学セミナー (日本評論社), (2001.8), pp.44-48. →
原稿は堀田氏のページから入手可能
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