上のシミュレータでは結合強度 g およびノイズ強度 D を調整して系の時間発展を観察
することができます。
横軸は時間、縦軸は素子の番号をあらわしており、このページでは素子数を N=100 としています。
平面上の色は各素子の変数 ui の値に応じて決められています。
色が青いと素子が平衡状態にあり、色が赤いと系がパルスを出している状態にあります。
バーを調整して D と g を変化させるとわかるように、
有る程度の大きさの D と g において素子の発火が周期的になります。
これは、ノイズによって周期的な解が生じたことを意味します。
特に、このページの場合は素子の相互作用によってパルス伝播が起こって周期性 (またはコヒーレンス) が強まっていることもわかります。
このような現象は array-enhanced coherence resonance と呼ばれます。
(適切な日本語訳は今のところないようですが、タイトルでは便宜的に「格子上のコヒーレンス共鳴」としました)
一素子の発火の周期性の指標として「発火間隔の平均と標準偏差の比」を用いると、
周期性が最大化される g と D がほぼ g=0.4, D=0.004 程度であることがわかります。
このページでは結合は隣接した素子のみに存在しましたが、結合が全結合であれば
素子数無限大の極限で理論的な解析が可能になり、
array-enhanced cohehrence resonance は g と D をパラメータとした分岐現象
によって引き起こされることがわかります。
このページは以下の文献を参考にしています。
Yuji Shinohara, Takashi Kanamaru, Hideyuki Suzuki, Takehiko Horita, and Kazuyuki Aihara,
"Array-enhanced coherence resonance and forced dynamics in coupled FitzHugh-Nagumo neurons with noise," Physical Review E65 (2002) 051906. (PDF)
Takashi Kanamaru and Masatoshi Sekine,
"Array-enhanced coherence resonance in the diffusively coupled active rotators and its analysis with the nonlinear Fokker-Planck equation," IEICE Transactions on Fundamentals, vol.E86-A, no.9, (2003) 2197-2202. (preprint[PDF])