Word-01: Word による文書の作成

ワープロソフトである Microsoft Word を用いて文書を作成することを学ぶ。


テキストエディタと Word の違い

文書の作成は、テキストエディタでも行えるが、
今回から学ぶワープロソフトはテキストエディタと何が違うのだろうか。

それを知るには、以下の文書例を見て頂くと分かりやすいだろう。
まずはテキストエディタによる文書の例は以下の図のようになる。



一方、Word を用いた文書の例は以下のようになる。



見て分かるように、テキストエディタは文書を書くことのみに特化しているのに対し、
ワープロは文字の大きさを変更したりや下線を引くことなどにより、文書の見た目を制御できることが特徴である。

それぞれの特徴、長所などをまとめると以下のようになるだろう。

[テキストエディタ]

[ワープロソフト (特に Microsoft Word)]

Word は上記のような特徴を持っているから、Word の使い方を学ぶということは を学ぶということになる。

このうち、「文書の入力」は前回までにテキストエディタで学んだ知識が そのまま活用できることに注意しよう。


Word の起動

それでは、Word を起動してみよう。Wordの起動方法はいくつかある。
Windwos 10 の場合、下図のように左下のスタートメニューから「W」の項目を探すという方法がある。



Windows 11 の場合、スタートメニューで下図の「すべてのアプリ」をクリックしないと、上記のアプリケーション一覧は現われないので注意。



スタートメニュー以外を用いる方法としては、検索窓に「word」と入力して現れたアイコンをクリックする方法もある。
Windows 10 でこの方法を用いている様子が以下である。



Windows 11 の場合は、下図のように虫メガネアイコンをクリックした後、画面上部に検索窓が現われる…、のだが、
Windows 11 のバージョンアップによっては検索語句入力欄が下に存在することもある。
このあたりの微妙な違いには臨機応変に対応しよう



なお、一度 Word を起動できることを確認したら、下図のように検索画面の Word アイコン上で右クリックし、
スタートやタスクバーにピン留めしてしまうのが便利である。



さて、Word が無事に起動し、以下のような画面が現れた場合は「白紙の文書」をダブルクリックする (環境によってはこの画面は現れない)。



すると以下のようにWordで文書を編集する画面となる。



ここで、Word のファイルの保存形式について学んでおこう。

まず、左上の ファイルタブ をクリックしてみよう。
ファイルの保存や印刷がここから行えるのだが、そこで下図のように「名前を付けて保存」をクリックしてみよう。
そして、保存場所を決定するために「参照」ボタンをクリックする。



以下のようにダイアログが現れるが、「ファイルの種類」をクリックすると、下図のように保存形式がいくつかあることがわかる。
ここでは、赤線を引いた「Word文書 (*.docx)」と「Word97-2003文書 (*.doc)」を覚えておこう。



保存の際、デフォルトのままでは「Word文書 (*.docx)」で保存される。
これ以外には、Wordの古いバージョンでも開ける形式である「Word97-2003文書 (*.doc)」も企業などではときどき使われるので知っておこう。
(さすがに見かける機会は減りつつあるが)

これらでファイルを保存すると、アイコンと拡張子はは下記の様になる。

種類 拡張子 Office 2013 Office 2003 用途
.docx × Office2007 以降用のワードファイル
.doc 過去のバージョンの Office でも開けるワードファイル



拡張子を表示しよう

さて、上の解説で Word の主要なファイルとして2種類紹介した。
上図を丁寧に見ると、それらのファイル名は「 .docx」と「 .doc」のように、末尾が異なることがわかる。
この「docx」、「doc」のことを「拡張子」という。ここでまず拡張子について解説しよう。

拡張子とは、ファイル名の末尾につく3文字程度の記号である。
下図のように「メモ.txt」というファイルがあったとき、ドット「.」で区切られた「txt」が拡張子である。
昔の PC では拡張子を元にファイルの種類を判別していたという事情があり、今でも使われている。

通常、買ったばかりの PC は、下図(左)のように拡張子を隠して表示しないという設定になっている。
多くの場合、皆さんの PC はそうなっているのではないだろうか。
しかし、「本来は存在するのに隠れて見えない」というのは使用上トラブルの元である。



上で紹介したように、拡張子はファイルの種類を区別するものであり、重要な意味を持つ。
そのため、「拡張子」を表示した状態に慣れ、新規 PC を購入した際は真っ先に拡張子の表示設定をする、
ということをお勧めしたい。

拡張子を表示するためには、フォルダ構造を表示するアプリケーション「エクスプローラー」を起動しなければならない。
エクスプローラーは、下図のように黄色のフォルダのアイコンをクリックすることで起動できる。



このアイコンを見付けられない場合は、Windows キー + E キー ( + E) を押すことで
(キーを押しながら E キーを押すことで) エクスプローラーを起動できることを知っておくと良い。


エクスプローラーが起動したら、Windows 10 の場合「表示」タブ内の「ファイル名拡張子」にチェックを入れる (下図)。
PC にさらに詳しくなりたい人は「隠しファイル」にもチェックを入れると良い。隠しファイルが表示されるようになる。



Windows 11 の場合、拡張子を表示するためには、エクスプローラーで「表示」→「表示」と辿って「ファイル名拡張子」にチェックを入れると良い。
こちらの場合にも、「隠しファイル」を表示する設定項目があるのでお好みで。




OneDrive に関する注意

以上でファイルを保存するための準備が整ったわけであるが、保存の前にもう一つ注意を述べておく。

ファイルを保存する場合、典型にはエクスプローラー上で皆さんのドキュメントフォルダなどに、
「情報処理入門」などといったフォルダを作って、その中にファイルを保存するのがよい。

ドキュメントフォルダ内に作成したフォルダをエクスプローラーで表示したとき、
下図のように緑色のチェックマークや青色の雲のマークがついていないか、確認して欲しい。
そのようなマークがついている場合、注意が必要である。



上図に示されているように、緑色のチェックマークや青色の雲のマークは、それがついたフォルダやファイルが、
OneDrive により管理されていることを示している。

OneDrive とは、Microsoft 社が提供しているインターネット上の (クラウド上の) ファイル保存サービスであり、
無料で 5GB まで利用可能、というものである。

すなわち、緑色のチェックマークや青色の雲のマークがついたフォルダには、無料の範囲で 5GB までしか保存できない、ということを意味する。
これが、「注意が必要」と言った意味である。

このことを、もう少し詳しく説明してみよう。

エクスプローラーの左側の階層構造には、図のように、 「デスクトップ」、「ドキュメント」、「ピクチャ」というフォルダが
2種類存在することがわかる。
すなわち、「OneDrive 内のもの (インターネット上のもの)」と「OneDrive外のもの (皆さんのPC内のもの)」である。
図に記されているように、これらは本来別のものである。
(なお、OneDrive を利用していない学生には、OneDrive 内のフォルダは現われないはずである)



2023 年現在、OneDrive の初回設定時、この2種類の「デスクトップ」、「ドキュメント」、「ピクチャ」というフォルダが
OneDrive に統合されやすくなっている。(「バックアップしますか?」と聞かれ、素直に「はい」と答えるとそうなる)
そうなると、「デスクトップ」、「ドキュメント」、「ピクチャ」に保存したファイルは、全てインターネット上 (クラウド上) にアップロードされる、というわけである。



もちろん、そうすることのメリットはある。突然にPCが壊れてしまった時でも、重要なファイルのバックアップがクラウド上に残っているのは大きなメリットである。
OneDrive の容量が十分に大きいならばそれで良いのだが、残念ながら無料で利用できる容量は 5GB と小さいので、
そのまま使い続けると、容量不足で困る学生が多いであろう。

恐らく、使用量が 4GB を超えたあたりで、「足りない容量を増やせ」という警告を 頻繁に目にするようになる。
足りない容量を増やす、とは要するに OneDrive に課金してください、ということである。

この状況になった学生がとるべき行動は主に下記の2つだろうと思う。 どちらの方法をとるかは皆さん次第であるが、いずれのせよ、その方法を以下で解説する。
下図のように、デスクトップ右下から OneDrive のアイコンをクリックする。



現われた領域で歯車アイコンをクリックして設定画面を開く。



下記ウインドウが開くので、「バックアップを管理」をクリック。



すると、下図のウインドウが開く。「デスクトップ」、「ドキュメント」、「ピクチャ」のスイッチがオンになっており、
OneDrive で管理されている状態を示している。
統合をやめる (バックアップをやめる) 場合はこの3つのスイッチを一つ一つオフにしてく (やってみるとわかるが、少々面倒臭い)。
課金して容量を増やしたい場合はさらに下にあるボタンをクリック。



3つのスイッチをオフにしてバックアップを停止する場合、下記の確認画面が現われるので、「バックアップの停止」をクリックする。
これを3回行うことになるので注意。



統合が解除された (バックアップが停止した) 状態が下図である。



なお、フォルダの OneDrive への統合を解除した場合 (バックアップを停止した場合)、
下図のように、OneDrive 内から皆さんの PC 内でファイルを移動しなければならないことがある。
例えば、自分で作成した「情報処理入門」フォルダを OneDrive 内から OneDrive 外へ移動、などである。

これが必要な理由は、今まで同一視されていたフォルダが、二つの別々のフォルダに分かれたからである。






文書の入力

さて、Word の解説に戻ろう。
Word の標準では、A4 サイズの紙を対象に文書を編集するように設定されている。

まず、文書の画面上でのサイズを変更する方法を学んでおこう。 画面の右下に下図のようなズームバーが見られる。
これを操作することで、画面上の倍率が変更される。



倍率を変更すると、画面上での見た目のサイズが変更される。
適切な大きさにすると、以下のようなに用紙の両端が見えるようになる。このとき、下図の赤線の幅が A4 用紙の横幅と思えば良い。



それでは、文章の入力を行ってみよう。まずはテキストエディタで学んだ要領で文章を入力して行けば良い。

[演習]
以下の文章を入力せよ。入力の際、一文ごとに改行すること。



(注意) は半角英語、は半角数字である。

1~3行目のポイントは文節の区切りなどを正しく入力できるかである。
Shift キーを押しながら←→キーを押すことで文節の区切り位置が移動する。
文節の移動自体は←→キーで行う。

4行目と5行目のポイントは である。順に見て行こう。

全角文字と半角文字

一般に日本語は全角文字と呼ばれる (半角カナという半角の日本語もあるが、ここでは省略する)。
一方、英語や数字は「全角文字」と「半角文字」があり、これらは全く異なるものであるので、区別して用いねばならない。 同様に、空白文字 (スペース) にも「全角スペース」と「半角スペース」があり、これも区別しなければならない 半角文字は ASCII 文字であるが、全角文字は基本的に日本語と同じ取扱いである。
そのため、海外にメールを出す際は半角文字で書かないと相手は読むことができないことはあり得る。

半角文字は Microsoft IME を「直接入力」にしておけば入力できるが、他にも以下の入力方法がある。

「ひらがな」入力モードのまま半角英語などに変換する方法
変換後、以下のファンクションキーを押す。
  • F6: ひらがな
  • F7: カタカナ
  • F8: 半角カナ
  • F9: 全角英数字
  • F10: 半角英数字
ただし、ノートPC などではキー数の制限からこれらのファンクションキーは簡単に押せる状態になっていないことが多い。
キーボード左下の「Fn」キーと組み合わせることで上記のキーとして機能することが多い。

記号の入力 (「~」や「〒」など)

記号には、記号に特有な読み方がついているものが多い。例えば、「~」は「にょろ」、「〒」は「ゆうびん」や「ゆうびんばんごう」など。
これを入力して漢字変換の要領で記号に変換してやれば良い。

他にも、「々」は「くりかえし」、「おなじ」、「どう」などと書いて変換すると現われることが多い (OSや環境による) ことを覚えておくと便利かも知れない。

読み方のわからない記号を入力するには、IME パッドを用いれば良い。
下の様に、Word で文書編集中に、タスクバーにある文字入力の状態を示すアイコン(「A」や「あ」と表示されている部分) の位置でマウスの右ボタンをクリック (右クリック) しよう。



なお、漢字変換用アプリケーションとして、Microsoft IME 以外のものをインストールして用いている場合
(典型的には Google 日本語入力や ATOK)、 IME パッドは現われない。

その場合、下図のように、タスクバーのアイコンをクリックしてから「キーボードレイアウト」として「Microsoft IME」を選択して欲しい。
そうすることで、IME パッドが現われるようになる。



うまくいけば、下図のようなIMEパッドが起動する。

デフォルトの画面に表示されている手書き用 IME パッドでは読みの分からない漢字をマウスで描いて調べることができる。
ここでは「文字一覧」から選ぶことにする。図の赤丸をクリックすると、 「文字一覧」ウィンドウとなり、文字を一覧から選ぶことができる。



文字カテゴリを選ぶことで様々な記号を探すことができる。




ノートPC でのキーボードの配置について

さて、ここからキーボート上で特殊な用途を持つキー (Insert と Caps Locks) について解説する。
ただし、「これらのキーを活用してください」と伝えるための解説ではなく、
「これらのキーの役割を知っておかないと、トラブル時に自己解決できない」ことの注意喚起としてこの解説を行うのである。

本ページを読む全員がこれらのキーについて知って欲しいが、特に、コンピュータが得意な学生はこの内容を確実に習得して欲しい
それにより、周囲でトラブルが起こった場合に、その解決を手伝ってあげられるためである。

さて、まず「Insert」キーと呼ばれるものについて解説したいのだが、
省スペースを狙って開発されたノートPCの場合、キーの数を減らすため、Insert (Ins) キーが単独では存在しないことが多い。
その場合、ノートPCの開発メーカーごとに独自のキー配置となっていることがある。

そのため、講義などでは「全員が同じキー配置のPCを用いているわけではない」という状況になり、
説明がやや難しくなってしまうという問題がある。それを頭に入れた上で以下の解説を読んで欲しい。

一般に、Insert (Ins) キーはキーボードの右上の方に配置されていることが多いのではないかと思う。
例えば Microsoft Surface シリーズの場合、Insert (Ins) キーは下図のように Del (Delete、削除) キーと共通のキーとして存在し、
普通に押しただけでは Insert (Ins) キーの機能は現われない。



上図のようなキーの場合、どのように Insert (Ins) キーの機能を使うかというと、以下の Fn (ファンクション) キーと組み合わせて使うのである。
Fn (ファンクション) キーは、キーボードの左下にあることが多い。



さらに、この Fn (ファンクション) キーの使い方として、下記の二通りがある。 それぞれの Fn キーの機能での Ins キーの使い方は以下の通り。 これが Microsoft Surface の場合は少し複雑になっていて、
オンオフを切替えられる Fn キーがあるのだが、Del/Ins キーに関しては『Fn キーを押しながら Del/Ins キー』でないと
機能しない (ややこしい)。
PCによって挙動が異なる可能性があるので、頭に留めておこう。

以上を知った上で、次の Insert キーの解説に進もう。


Insert キーに注意しよう

Word に限らず、キーボードにより文字列を入力するアプリケーションでは、
キーボードの「Insert」キー (あるいは「Ins」キー) が思わぬトラブルを引き起こすことがある。
ここでその挙動をしっかり理解し、いざというときに困らないようにしよう。

まず、Windows では、文字を入力する際に「挿入モード」と「上書きモード」の2つがあり、これらは全く別の挙動を示す。
この2つのモードは何が違うのかを見てみよう。
まず、Word で下のように「a」を6 文字書き、3文字目の末尾にカーソルを移動しておく。



ここで、「bbb」とキーボードから入力したときの挙動の違いを 示したのが下図である。
通常のデフォルト状態である挿入モードでは「bbb」は文字通り挿入されるが、上書きモードでは「bbb」は「aaa」を上書きして消えてしまう。
まずはこの違いをしっかり理解しよう。

挿入モード (通常) での挙動 上書きモードでの挙動


それでは、このモードの状態が Word で表示されているかどうか、確認しよう。

Word では、「挿入モード」と「上書きモード」の区別は、画面左下に表示される。下図で言えば、「日本語」の右隣である。
環境に依存するが、下図ではこのモードは表示されていない。
そのような場合は、青いバーの上でマウスを右クリックし、「上書きモード」を選択することで、左端のチェックを入れよう。
これにより、「挿入モード」と「上書きモード」の区別が表示されるようになる。



以上の準備が終ったら、キーボードの「Insert (または Ins)」キーを 何度か押してみよう。
すると、Word の下部の表示が下のように変化し、 「挿入モード」と「上書きモード」が切り替わることがわかる。

挿入モード (通常) ←→ 上書きモード
←→


通常は「挿入モード」になっているのだが、何かの拍子に「Insert (または Ins)」 キーを押してしまい、
「上書きモード」になってしまうことが、キーボードに慣れないうちは時々ある。

そうすると、文字列入力時にいつもと違う挙動を示すのでお手上げになってしまう というわけである。
上で見たように、「Insert (または Ins)」キーをもう一度押せば通常の 挿入モードに戻ることを覚えておこう。

さて、ノートPC の場合、Fn キーなどと組み合わせないと Insert キーの効果は現われないことが多いのだった。
そのため「誤って上書きモードになる可能性は低い」と思うかもしれないが、必ずしもそうとうは言い切れない

例えばMicrosoft Surface の場合、Insert キーは Delete キーと共通になっているのだった。
Delete キーは使用頻度の高いキーであり、誤って Fn キーをオンにしてしまえば、
Insert キーを押した状態になることは十分に起こり得ることである。
そうなってしまえば、正しい知識がなければ元に戻すのは困難であろう。

最悪の場合、Windows を再起動すれば挿入モードに戻ると思うが、
皆さんは Insert キーの使い方を覚えたのであるから、再起動に頼らずスマートに解決して欲しいと思う。


Caps Lock キーに注意しよう

キーと キーとの間にある キーに着目しよう。

Insert キーと異なり、これはどのノートPC でも共通に存在すると思う。

通常、アルファベットを入力すると小文字で現われるが
誤って キーを押しながら キーを押してしまうと、 (+と書く)、
以後、シフトなしでアルファベットが大文字で入力されるようになる

多くのキーボードやノートPCなどでは、Caps Lock インジケータと呼ばれるものがあり、
このモードの状態のとき (Caps Lock オンのとき) に点灯するようになっている。
ちなみに、Caps とは Capital letters 、つまり大文字ということで、Caps Lock とは大文字入力に固定する、という意味である。

Caps Lock オンの状態では日本語入力に問題が起こることがあるので、通常はオフにしておく
誤ってオンにしてしまった場合は、 もう一度+を入力すると元に戻る。



Word-02: 文字書式と段落書式、書式のコピーと貼り付け→

Microsoft Office の基礎に戻る