二重振り子




doublependulum.jarをダウンロードしてダブルクリックして実行してください (コマンドラインでは java -jar doublependulum.jar)。

シミュレータが実行出来ない方は adoptium.net からOpenJDKをインストールしてください。



[二重振り子の振舞いのサンプル画像]



下の図のような二重振り子を考えましょう。

これは力学の教科書の演習問題によく載っているものですが、どのような動きをするかまでは解説されていない場合がほとんどです。
実は、この二重振り子では簡単にカオスが見られることが知られています。
カオスは教科書に載っているような単純なモデルにも現われてしまう、という点がポイントです。

上の二重振り子では回転軸周りの摩擦を考えていません。
高校で物理を学んだ方は、物理の演習問題で「摩擦を無視するものとする」という決まり文句が何度も登場し、
そのような問題ではエネルギーが保存されることを学んだことでしょう。
エネルギーが保存される系をハミルトン系または保存系と言いますが、 二重振り子もそのような例の一つです。

エネルギーの保存しない散逸系、例えば 「エノン写像」や「ローレンツアトラクター」におけるカオスでは
系にアトラクターが存在しました。しかし二重振り子のような保存系のカオスにはアトラクターは存在せず、
エネルギー E の値や初期状態に応じて、「トーラス」や「カオスの海」などが見られるでしょう。
保存系のダイナミクスについては「標準写像」シミュレータなどを参考にしてください。

さて、二重振り子のエネルギー E は以下のように運動エネルギー K とポテンシャルエネルギー U の和で書くことができます。

ラグランジュ方程式の定義によると、この二重振り子の運動は次の微分方程式によって記述されます。

これを角度の二階微分について解くと以下のようになります。

これをベクトル に対する微分方程式 とみなすことで、二重振り子の振る舞いを解析できます。

二重振り子はエネルギーが保存されるハミルトン系 (保存系) ですから、 微分方程式を解くにはエネルギーを保存するような数値積分法を用いる必要が あります。

ここでは以下のような4 次の陰的ガウス公式を用いています (牧野氏による参考文献参照)。

このシミュレータの左側には二重振り子の振るまいが表示されています。
上のボタンで振り子の運動を止めると、振り子の位置や速度が変更できます。

右側には が満たされるときの (Poincaré 断面) が表されています。


このページは、以下を参考にしています。

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